疾患と治療方法 / 泌尿器科疾患の解説

ミニマム手術

ミニマム創内視鏡下手術

臓器がようやく取り出せるだけの単一の傷で行う手術です。通常 5cm 程度の傷を介して腎尿管、副腎、前立腺などを摘出したりします。対象疾患は各臓器の腫瘍から先天性水腎症などの良性疾患まで多岐にわたります。傷の辺縁から細い内視鏡を挿入して、直接目で見たり、内視鏡画面をモニターしながらスタッフ全員で情報を共有しつつ行うもので、技術的には従来の開放術と大きく変わるところはないので従来法と同様に安全に行うことができます ( 図 1 、図 2) 。低侵襲手術の代表である腹腔鏡下手術(通常 1cm 程度の小孔から刺した 3 ~ 5 本の筒を介して器具を出し入れし、二酸化炭素ガスの加圧により内部を広げつつ行う手術)と比べても、手技は容易でガス注入(合併症として各種血栓症、肺塞栓、ガス塞栓、皮下気腫などがある)を要しないため安全性が高いうえに、高価な使い捨て器具をほとんど必要としないため開放術とほとんど同じ手術代ですみ、別途に自費の支払いを請求されることはありません。また、臓器摘出のための追加切開を必要としません(図 3 )。このように他の手術法と比較しても多くの利点を有するミニマム創内視鏡下手術によって対象疾患にかかわらず、ほとんどの患者さんは手術翌日から歩行、食事が可能となり、術後の痛みも軽いために患者さんの希望次第で、術後 3 日目での退院も可能となります(抜糸や尿道カテーテル抜去は退院後に外来で行います)。