疾患と治療方法 / 泌尿器科疾患の解説

精巣腫瘍

精巣(睾丸)腫瘍とは

精巣腫瘍は10万人に1~2人程度の比較的稀な疾患ですが、 15~40歳の若い男性に多いがんで、肺やリンパ節に転移しやすいのが特徴です。 化学療法や放射線治療がよく効くので、進行していても適切に治療を行えば、かなり良く治るがんです。

症状

陰嚢(精巣)が腫れてきます。 しかし痛みや発熱は、通常は ありません。そのため、恥ずかしいこともあり放置してしまい、進行してから受診するケースもあります。病気が進行し転移すれば、転移によるさまざまな症状(お腹や首のしこり、腰痛、血痰、息切れなど)が出てきます。

診断

鑑別診断としては、精巣上体炎、陰嚢水腫、精巣捻転、鼠径ヘルニアなどが挙げられます。精巣腫瘍が疑わしい場合には、直ちに高位精巣摘除術を行います。 取り出した組織を顕微鏡で観察し(病理組織学的検査)、確定診断をします。その他、超音波検査、CT、腫瘍マーカー(LDH、AFP、HCG-β)などを行って、病気がどこまで進行しているか(転移巣の有無)を調べます。

治療

精巣腫瘍は大きくセミノーマ(精上皮腫)と非セミノーマ(胎児性がん、卵黄嚢腫瘍、絨毛がん、奇形腫のうち1種類以上が含まれる)に分けられ、それぞれで治療法が異なってきます。また、進行の程度(病期)によっても治療法が異なってきます。転移のない場合は、一般的には再発がないかどうかを調べながら厳重に経過観察をしますが、」発する可能性が15~30%あります。最初に転移しやすい場所は、後腹膜リンパ節という部分です。セミノーマは放射線治療が大変効果的であり、予防的にこのリンパ節に放射線照射を行う場合もあります。また非セミノーマでは手術でこのリンパ節をとり(後腹膜リンパ節郭清術)、顕微鏡で観察してがん細胞の有無を調べることもあります。転移がある場合は化学療法(数種類の抗がん剤を組みあわせた点滴)を行います。手術(後腹膜リンパ節郭清術や転移巣の摘除術)や放射線療法を組み合わせることもあります。