腎不全
腎不全
腎不全治療を一言で言うには余りにも大きな治療法です。この治療を正確に把握するためには”腎臓”の機能を理解しないといけません。腎臓は両背部に1対になって存在する尿を生成するための臓器です。機能としては①水分調節、②電解質の調節、③酸性-アルカリ性の調節、④尿毒素の排出、⑤ホルモンの産生、活性化等です。腎炎や糖尿尿性腎症により腎機能が低下すると尿中に排泄されるべき尿毒素が体内に貯留し、尿毒症と言われる症状を呈します。更に悪化すると、尿が全く出ないといった状態になります。このような状態になると腎代替療法が必要になります。腎代替療法は血液透析、腹膜透析、腎移植の3つが存在します。当科では腎移植手術に加えて、血液透析を行う際に必要なアクセスの作成、アクセスの合併症に対する治療も行っております。
内シャント
血液透析を行うためには血液を体外に取り出し、透析回路に送り出す必要がありますが、通常の静脈では必要な血液流量を長時間確保することは困難です。そのため“内シャント”を作成します。内シャントとは手術によって静脈と動脈をつなぎ合わせたものです。これにより血液透析を行うために必要な血流を確保できます。通常局所麻酔下で行います。
VAIVT
内シャントは狭窄や閉塞などの合併症も起こりえます。その治療としては経皮的バスキュラーアクセス拡張術(VAIVT: Vascular Access Intervention Therapy)があります。これはX線透視下に風船を用いて血管を内側から治療する方法です。当院では1999年から開始し、アクセストラブルの治療を行っています。
その他のブラッドアクセス
血管径が細い場合や、心機能が悪い場合には自己血管による内シャント作成が困難な時があります。その場合は動脈表在化術や長期留置型カテーテル挿入、人工血管留置術などがあります。動脈表在化術はシャント作成により心機能の悪化が予想される場合等に行います。上腕にある動脈を皮膚の直下に持ってくる(表在化)ことで動脈に直接穿刺しやすくなります。血液は表在化された動脈から取り出しますが、返血は静脈に行います。長期留置型カテーテルは透析用の太いカテーテルを体内に留置し、そこから透析を行うこととなります。人工物のため感染には注意が必要です。
当科では患者さんの状態に合わせて上記の内シャント作成や治療を行っております。