疾患と治療方法 / 泌尿器科疾患の解説

前立腺肥大症

前立腺肥大症について

前立腺肥大症は、男性の尿道のすぐそばにある前立腺の移行領域に腺腫(こぶのようなもの)ができることで、尿道が狭くなり、排尿が困難になる病気です。また、腺腫が膀胱内に飛び出して膀胱を刺激し、頻尿の症状が現れることもあります。ただし、これらの症状は前立腺肥大症があるからといって必ずしも発生するわけではなく、前立腺部尿道の抵抗と膀胱排尿筋の強さのバランスによって変化します。

症状

前立腺肥大症の症状は、大きく以下の2つに分類されます。

1. 下部尿路閉塞症状

  • 尿の勢いが弱い
  • 尿の出始めに時間がかかる
  • 排尿後も残尿感がある

2. 膀胱刺激症状

  • 頻尿(特に夜間頻尿)
  • 急な尿意(尿意切迫感)
  • 尿漏れ

多くの場合、これらの症状は併発します。客観的な評価のために**国際前立腺症状スコア(IPSS)**が使用されており、合計点数によって以下のように分類されます。

  • 0~7点:軽症
  • 8~19点:中等症
  • 20~35点:重症

特に夜間頻尿を主訴とする場合、その原因が必ずしも前立腺肥大症とは限らず、夜間多尿や睡眠障害などが関与していることもあります。そのため、患者に数日間の排尿日誌(排尿時刻、1回排尿量、尿失禁の有無、残尿感の有無、飲水量など)を記録してもらうことで、夜間頻尿の原因をより正確に把握できます。

国際前立腺症状スコア(IPSS)

質問 なし 5回に1回未満 2回に1回未満 2回に1回くらい 2回に1回以上 ほとんどいつも
排尿後に尿がまだ残っている感じがありましたか? 0 1 2 3 4 5
排尿後2時間以内に、また排尿をしなければならないことがありましたか? 0 1 2 3 4 5
排尿中に尿が途切れることがありましたか? 0 1 2 3 4 5
排尿を我慢することがつらいことがありましたか? 0 1 2 3 4 5
尿の勢いが弱いことがありましたか? 0 1 2 3 4 5
排尿をはじめる時に、いきむ必要がありましたか? 0 1 2 3 4 5
就寝してから朝起床するまで、何度排尿のために起きましたか? 0回以上 1回以上 2回以上 3回以上 4回以上 5回以上

治療

前立腺肥大症の治療法は、薬物療法手術療法に大別されます。一般的に、IPSSが中等症以上(8点以上)の場合に治療が推奨されます。

1. 薬物療法

症状や前立腺の大きさに応じて、以下の薬剤が使用されます。

  • α1ブロッカー:尿道の筋肉を弛緩させ、排尿をスムーズにする。
  • PDE5阻害薬:血流を改善し、前立腺や膀胱の機能を調整する。
  • 5α還元酵素阻害薬:前立腺の肥大を抑える。
  • β3刺激薬・抗コリン剤(膀胱刺激症状が強い場合に併用)

2. 手術療法

薬物療法で十分な効果が得られない場合、手術が検討されます。当院では以下の内視鏡手術を実施しています。

  • 経尿道的前立腺切除術(TUR-P):前立腺を細かく削る手術。
  • 経尿道的前立腺核出術(TUEB):前立腺をより大きな塊としてくりぬく手術。