腎移植
腎臓の働きと腎不全
腎臓の働きには、体内の余分な水分や尿毒素などの排泄だけではなく、体内の酸性度や電解質濃度の調節、血圧の調節、赤血球を作る命令を出すホルモンの分泌など、非常に重要な要素があります。何らかの原因で腎臓の働きが低下し、正常な環境を維持できない状態が“末期腎不全”です。したがって末期腎不全では腎臓の機能を補う”腎代替療法”が必要となります。腎代替療法には“透析療法”(血液透析、腹膜透析) と“腎移植”があります。透析療法では時間的制約があることや、腎臓の一部分の役割しか代替できないなどの問題もあります。
腎移植
“腎移植”では術後に移植された腎臓が十分働くようになれば、上記の様々な腎臓の機能が発現し、患者さんは長期間にわたって健康な人と同等の生活が送れるという大きな利点があります。また、末期腎不全患者さんは腎移植を受ける方が透析療法よりも長生き出来ることがわかっています。また長期の透析に伴い様々な合併症が出現するのに対し、腎移植では透析による合併症の多くは改善します。また最近では透析を経ずに腎移植を受けられる患者さんも増えてきております。さて、腎移植には健康なご家族から腎臓を提供して頂く生体腎移植と、亡くなられた方から腎臓をご提供頂く献腎移植があります。献腎移植を希望される場合は、日本臓器移植ネットワークにあらかじめ登録する必要があります。腎臓の提供者が出た場合に、登録されている方の中から候補者が選ばれ、移植されます。最近の免疫抑制剤などの進歩によって、腎移植の成績は良くなっており、最近の生体腎移植では5年生着率が93%、10年生着率が81%、献腎移植ではそれぞれ87%、74%となっております。
生体腎移植
健康なご家族から自らの意思で腎臓を提供して頂き移植手術を行います。なお提供できる方は腎機能が正常で健康体であることが必要です。手術は予定手術となります。
献腎移植
献腎移植とは、亡くなられた方から腎臓を提供して頂く移植のことです。臓器移植ネットワークに登録されている方の中から選択基準に従い候補者が選ばれます。腎移植を受けることを了承されれば速やかに入院し、移植手術の準備を行います。
山梨大学医学部附属病院での腎移植
さて山梨大学医学部附属病院では、1983年の開院(当時は山梨医科大学医学部附属病院)と同時に腎移植を開始し、これまでに80例以上の患者さんに腎移植を行っております。最近では、生体腎移植ドナーの手術に腹腔鏡を用いた低侵襲手術を導入し、ドナーの方の負担を少なくするようにしています。山梨県内での腎移植施設は、山梨大学医学部附属病院だけであり、腎移植外来の実施も当院のみです。このため、腎移植に関することには全て対応させていただいております。腎移植前の検査、手術前後の管理、腎移植後の外来通院など腎臓内科と協力して診療を行っております。腎移植に少しでも興味があればご連絡をお待ちしております。
腎移植外来
| 実施日 | 木曜日 |
| 担当 | 泌尿器科医師 |
| 内容 |
献腎移植希望者の登録手続き 希望者には、透析主治医よりの必要書類を持って、受診していただき、腎移植の説明、採血(HLA検査用)を行っています。日本臓器移植ネットワークへの登録は、山梨臓器移植推進財団の協力のもとに行っています。 腎移植に関する説明 実際に腎移植を希望される方は勿論、腎移植に興味がある方、腎移植について詳しく知りたい方等、移植に関することであればどのようなことでもご相談に応じています。 |