疾患と治療方法 / 泌尿器科疾患の解説

ロボット支援手術

内視鏡下手術支援装置 “da Vinci”について

ロボット支援手術について

当院では2013年6月より手術支援ロボット「ダヴィンチSi」を用いたロボット支援手術を開始しました。いわゆるロボット手術は1990年代にアメリカではじまり、2000年代には日本国内でもいくつかの施設で行われていましたが、機器が高額であることや保険適用となる手術がなかったためあまり普及していませんでした。しかし前立腺癌手術に保険適用が認められた2012年以降では日本でも多くの病院で導入されています。手術法はまず腹部に1cm前後の小さな孔を数カ所あけて専用の内視鏡や鉗子を差し込みます。これらをロボットアームに接続して医師が内視鏡や鉗子を遠隔操作する新しい腹腔鏡下手術です。肉眼ではみにくい骨盤内を解像度の高い3D画像で細部まで見ることができるとともに、人間の手指以上に繊細な操作が可能なため、「きめの細かい手術」をする事ができます。

その「きめの細かい手術」により手術時の前立腺周囲組織へのダメージが少なくなります。周囲組織の損傷により起こる術後の尿漏れや勃起機能障害の発生を低下させ、また発生しても早い回復が期待できます。また出血もほとんどなく輸血例も極めて少ない点も優れています。

当院ではこれまで多くの前立腺癌患者さんに対してロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術を行ってまいりました。従来の方法よりも手術時間は長い傾向にありますが、術後の痛みが少なく回復が早い印象があります。入院期間も以前より短くなり、現在当院で行われる前立腺全摘除術の8割以上がロボット支援手術となっています。今後は前立腺癌だけでなく腎癌や膀胱癌に対する手術にも保険適応が広がる可能性があり、当院でも導入を検討中です。

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